講演会

天文の夕べ・講演会「なぜそれでも金星に行くのか〜探査機あかつきの航海」

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6/11の土曜日、杉並区立科学館で天文の夕べ・講演会「なぜそれでも金星に行くのか〜探査機あかつきの航海」があったので行ってきました。講師は今村剛さん。
参加無料、会場は駅からちょっと離れてましたね、20分くらい歩きました。

講演は金星がどんな惑星か、というところから始まりました。今の時期は「明けの明星」とか言われるようにとにかく明るくきれいな惑星、なので神話などでも語り継がれてきたとのこと。
金星、火星、地球とよく似ているといわれる惑星を比べてみるとおもしろいですね、話を聞いていて思いました。

  • 金星:地表は約460℃の灼熱の世界
  • 地球:水の惑星、生命の星
  • 火星:-60℃の氷の世界

こうして並べてみると各惑星の特徴が浮かび上がってきますね〜。
さて、金星はなんでこんなに暑いのか。ざっくりと分かりやすい説明だったので少しまとめてみます。
まず硫酸の雲に覆われていて太陽の光はほとんど反射しているそう。だからあんなに明るいのですね。地表には光はほとんど届いていない暗闇の世界のはず、となれば灼熱地獄ではなく極寒の地になるのではないか、と思えます。ではなにが原因で灼熱の世界なのかというと、金星は「温室効果」で暑いのだそうです。
究極の温暖化の姿、とも言えるそう。温暖化が問題にもなる地球にとっては、金星の研究が進めば、温暖化対策などにいい成果がでそうです。

地球にももちろん二酸化炭素がありますが、金星ほどひどい事態にはなっていません、それは海があるから。海が二酸化炭層を吸収して、地面の中に二酸化炭素を隠しているという。なるほど、この話は初めて聞きました。
「温暖化」という言葉はあまりいいイメージありませんが、これがないと水が存在できないそうです。ほどよい「温暖化」があるから水が蒸発もせず、凍ることもない「水」として存在できる、と。
もしかしたら、太古の金星には海があったかもしれないという研究もあり、蒸発してしまったのではないか、とも言われているようですね。
だとしたら本当に金星と地球は似ていますねー、双子の惑星と言われるのも納得です。

じゃあ火星はどうなのか?火星には水があったような痕跡があるのだそう。まるで川のような筋が火星の表面についていて、火星もその昔は水があったのかもしれないという。
なぜ極寒の惑星になってしまったのか、いくつか仮説はあるようでした。火星は重力が弱くて温室効果ガスが逃げ出した?それとも磁場が弱かった?これもまだ推測の段階のようだけどこちらも興味深いです。

ところで、講演会記念に「あかつき」のペーパークラフトをもらったので作ってみました。ペーパークラフト、むずかしい。。。。
ペーパークラフトはこちらからダウンロードできますよ。
あかつきペーパークラフト

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さて「あかつき」に話をもどして、では「あかつき」でなにを調べたいのか、以下にずらっと並べてみました。

  • 大気が自転速度を追い越して循環している現象「スーパーローテーション」
  • 金星の硫酸の雲はどのようにできた?
  • 雷はなぜ起こる?
  • 火山活動はある?
  • 太古の金星に海はあった?

「あかつき」に搭載している5台のカメラの観測情報を組み合わせて三次元的に解明していきたいとのことでした。これは楽しみですね、ぜひミッションに成功してもらいたいです!

「あかつき」本体のことについてもいくつか情報をもらうことができました。

【「あかつき」の値段】
プロジェクトの運用費、人件費は別として、以下。
本体:150億円
打ち上げロケット:100億円

【近日点の通過の影響について】
4月のことでしたか、「あかつき」が金星公転軌道の内側に入り込んでしまい予定の熱量以上の温度になってしまう時期がありました。その熱量は想定していたものよりも1.5倍ほども暑いそうです。なので、本体が太陽に向かう面の部分を変更しながら、熱の管理をしつつの運用。
そのおかげで4月の近日点通過はいまのところ何も起こらずに通過できているとのこと。
でもあと10回ほど近日点を通過しなければならないようです。
プロジェクトチームはその度ごとにヒヤヒヤですよね、最後の近日点通過まで成功を祈ります!

【初回突入時のトラブルについて】
その後の調査でいろいろと分かってきたことがありました。金星軌道突入の失敗の原因は逆噴射が正常に行われなかったから。「あかつき」がなんらかの故障を感知して自動的に逆噴射を止めたために軌道突入できなかったようです。
逆噴射するための燃料を送り込むパイプの弁が故障したことがその原因ではないかというところまでわかった、と。
そもそも逆噴射の燃焼には燃料を混合する必要があります。その燃料を送り込むパイプのひとつが持つ弁がつまってしまい適切な割合で燃料を混合できずに不完全燃焼していたようなのです。さらに、逆噴射時に「あかつき」の姿勢がぐらついていたこともわかったらしいです。「ぐらついていた」ということは、もしかしたらそのときに小さな爆発が起こって噴射口になんらかの障害が残っている可能性があるのだそう!
まだ調べてみないとなんとも言えない、推測の段階。それを見極めるためには噴射テストをするしかない、ということで今年中のテストを目指しているというところまで聞くことができました!

すでに分かっている事実だけをみるとハード的なトラブルのために、再突入時に同じことをしても、また同じことが起こる可能性が極めて高い。そこでソフトを書き換えることで対応することになるだろうとのこと。例えば、逆噴射を一気に行うのではなく、少しずつ速度を落としていくような突入方法にする、とか。
まずは、再噴射テストが終わって現状を見極めてから判断するとのことなので、これもひとつの可能性にすぎないのはもちろんです。

と、いうことでいろいろなことが分かってとても有意義な時間でした。
ますます「あかつき」の今後には注目です!

それから今村さんにサインをいただきました。しかもiPadに。
こんなメッセージです。

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ちゃっかりレゴ「あかつき」へのメッセージも兼ねてます(笑)
なんとレゴ「はやぶさ」のウワサも聞いているとのことでした!これはうれしいですね〜、ならばなんとしても「あかつき」もレゴ商品にせねば!
というわけで、「あかつき」もレゴ「あかつき」も応援しましょう!!
akatsuki

金星探査機 「あかつき」プロジェクトサイト

レゴ「あかつき」商品化提案ページ

ちなみにサインしてもらったiPadアプリはこれ。
無印良品がだしているアプリです。使いやすい!

MUJI NOTEBOOK 1.3.0(¥450)

iPad 互換 iOS 4.2 以降が必要

MUJI NOTEBOOK 1.3.0
カテゴリ: 仕事効率化
価格: ¥450 App
更新: 2011/03/15