デザイナーとして書体を理解することは必須。とはいえ、すべての書体を理解するなんてことは無理だろう。だから、書体の見方・選び方の骨格を押さえておけば問題ないだろう。その骨格を掴む参考に本書を手にとった。骨格さえ身につけてしまえば、あとは見本帳などを見ながら適材適所で書体を選んでいくようにすればいい。
本書は、数は少ないが既存書体について、どんな書体なのかが分かる解説がついている。読めば書体のどこを見ればいいのかが大枠でつかめるだろう。それを基準値として他の書体を見ることをオススメ。例えば以下のような感じだ。
游明朝体:時代小説が組めるような明朝体
タイプバンク明朝:仮名は形が簡潔で明るく、おおらかなイメージで横組みを意識。本文で使用したとき、美しく凛とした品格ある現代的な組版を実現。
新ゴ:文字ツメ処理なしに、タテ・ヨコ組ともラインや黒みの揃った美しい組を実現。
書体ごとの雰囲気をつかんだら、それをどのような時に使うかが重要になる。使い方の例も事例として掲載されているので参考になるはず。
書体をデザインする方法もおおまかに採り上げられているので、文字をデザインしてみたい人は目を通しておいて損はない。多少クセのあるデザイン系フォントも解説付きで紹介されている。
ロゴデザインの解説では、ポイントを紹介している。デザインするうえで読んでおくといい。無意識のうちにも気をつけていることでも言葉に置き換えることで理解が進むからだ。
以下に少し抜き出してみた。
同じ線幅でも同じに見えない、錯視があるので見た目での調整が重要。
余白を計算しながら、間をとっていく。
言葉のアクセントに注意して、文字の流れをつくる。
書体について一通りおさえることができるのでオススメだ。