日常

『デザインするな』

DRAFTの宮田誠のインタビューを軸に、内外スタッフの話も織り交ぜて編集したのが本書。外部の目で見た宮田誠、DRAFTのデザイン観がわかる。
「デザインするな」と宮田は言う。
宮田は小手先のデザインではなく、案件の伝えるべきイメージをとことん考え抜いて本質を捉えなければデザインなどできないということだ。頭の中のイメージを整理すれば、カタチはいくらでもきれいになる、という。
宮田は個性についても独特の見方をもっている。自分の感性は他人とはまったく違うもの、その感性に素直になれば、絶対他人とは違う表現ができる。だからこそ個性をだすには、まず自分自身を知ることだ、というのだ。
個性が大事だとか、個性をだせとか言われてきたが、そもそも感性は他人と違って当たり前、個性なんて誰もがもってるもの。それを活かせるかどうかだ。
デザインとは何か?
宮田識の答えは
「頭の中に思い描いたものを複写すること」
デザインジャーナリストの筆者の経験上、注目すべき仕事をしているデザイナーは、それぞれ自分なりの答えを持っているようだ。確かに「デザインとは?」の問いに正しい答えはないのだろうと思う。
宮田もやはり「イメージを複写する」というスタイルが、そのデザイン・テイストを創り出していると納得できる。
デザインのカタチよりも、信念や思想、志を先に考えていく姿勢は参考になる。志を理解することでデザインしていくものの芯がブレなくなるから。
こうしたデザイン思想のもとでおこなわれたプロジェクトを通して、宮田識のデザインに対する姿勢を観ることができるのが本書。モスバーガー、PRGR、ラコステ、キリンビールなどのプロジェクトが取り上げられているので読み応えありだ。
巻末には作品集もある。
アートディレクターは読んでおきたい。