日常

「ニッポンのデザイナー展」ギャラリートーク2

ハナ

「ニッポンのデザイナー展」のイベントシリーズ、ギャラリートークの2回目。
今回は事前の申し込みが100名を超えたらしく、ギャラリー内ではなく、セミナーが行われる大きなスペースで。
ゲストは、プロダクト・デザイナーの柴田文江、佐藤オオキ。
どちらもかなりしっかりと自分の評価軸を持っていることが際立った話だった。
さくっとまとめると、こんな感じだった。
【柴田文江】
若いころは、自分の考えを具体化したプロトタイプをよく作っていたが、今ではプロトタイプよりもプロダクトを作っていきたいと思うようになったそうだ。
プロダクトが一般ユーザーに広く行き渡ることで、自分がいいたいことを伝えることができるからだ。
「ユニバーサル・デザイン」というものを良くはおもっていないようだ。
デザインとは、そもそも責任を負うことであり、特に「ユニバーサル」といわないまでも、使い勝手がいいのは当たり前だ。「ユニバーサル」だからデザインはここまで、といった妥協的なデザインになってしまうのが最も悪い例、これを「ユニバーサルの暴力」と呼んでいるのが印象的。
そういった流行ではなく、しっかりと機能やコンセプトから練り上げてでてくるデザインを目指すようにしたい。それは、限られたコスト、納期などの諸処の「条件のクロスワード・パズル」をうまく解いていくことだ。
目指すところは、一般販路(コンビニとか)でもいわゆる”デザイン物”を帰るようにしたいというもの。
仕事の進め方も、おもしろい。「フランス料理式」だという。
スタッフは、一つの仕事を全員でやる、といったことがあるそう。なんだか楽しそうだ。
デザイナーとして大切なことは「自分の評価軸をしっかりと持つこと」。大量に情報が行き交う東京では特に重要。デザイナーの情報処理の方法そのものが、そのデザイナーの個性だから、これからも「評価軸」「情報処理の方法」をしっかりと確立していくことが、デザイン界で活躍するのにはかかせないポイントだと語った。
【佐藤オオキ】
こちらのかたも、コンセプトの絞り込みが、するどい。
「お金がない」というマイナスを、おもしろいアイディアに転換するのが、うまい。
「お金がないなら、アイディア勝負」ということをいちいち納得させられるプレゼンだった。
問題点を見つけ出し、解読してコンセプトを絞り込んでデザインとして形に落としこんでいく力はそーとうすごい。
東京という情報がたくさん集まる場所で暮らし、デザインしていく者としては、その情報を扱うフィルターが大事だと語る。
このあたりの話は、柴田とも通じるところだ。すべての情報を拾っていてはキリがないし、意味もない。自分に必要な情報をピックアップしていく力は今後ますます大切になるだろう。
二人には共通する部分が多く、最後には自分らしい「情報のフィルター・評価軸」をいかに育てて確立していくかがこれからの自分の成長に直接繋がっていくのだという結論でしめくくられた。
最後に情報論がでてきたところが、いいね。
ポイントだな、そこが。