展覧会

マリオ・テスティーノ写真展 ポートレート

Mario testino portraits 1

2階と3階を使った豪華な写真展。写真もかなり大きく引き伸ばされて会場の四方の壁に張り巡らされる。人の背丈の倍以上もあろうかという写真群は圧巻。空間には仕切りはなく、中央に半透明の青ビニールが写真展ロゴを表面に垂れ下がっているばかり。
マリオ・テスティーノは、ファッション写真で知られ「ファッション写真界の貴公子」と呼ばれている。各界著名人のポートレートはさすがに迫ってくるものがある。

Mario testino portraits 4

しかし、確かにすばらしいが、これらの写真の魅力は被写体の力も大きいと思う。スーパーモデルやハリウッド女優はもちろん、著名人たちは写真の撮られ方を知っているし、とてもキレイだ。
マリオ・テスティーノの「空間のツメ」や「表情の引き出し・切り取り」の力もあるのだろうが、それ以上に「被写体の力」は大きいと思うのだ。

Mario testino portraits 2

では、マリオ・テスティーノの技法で学ぶべき点はなにか。
それは、ファッション写真に観られる独特の「構図とポーズ」にあるだろう。
それは「アンスタビリティ(不安定)」にあらわれている。つまり、構図の型を崩している。この一般的なポートレートにはない不安定性が、動的な演出になっているのだ。

Mario testino portraits 5

これはファッション雑誌をパラパラするだけで分かることだ。
おそらく、この方法を「誰に、どの程度適用するのか」ということを瞬間的に判断してシャッターを切っているのだろう。