長いタイトルですね。
講演会ざっくりまとめました。
講演会はUstにアーカイブされていますよ。
講演会の詳細は以下から参照できます。
< GEW Kick Off Event > MITメディアラボ副所長 石井裕先生講演会のご案内
ざっと見た感じでは、会場に来ていた人は年齢層高め。
石井先生の話すスピードが速く、英語まじりの独特な講演でした。
最初の数分間ほど聞けませんでしたが、第1部は、「情報」をとりまくキーワードをあげての解説が続きます。
twitter、evernoteなんんかの名前もあがってました。
主なキーワードは以下。「情報」っぽいですね。
- 循環
- 速度
- 連鎖
- 物質
- 銀河
- 流水
- 視点
最後の「視点(パースペクティブ)」というキーワードはMIT LABにとってもかなり重要なもののよう。
情報をいろんな視点で観ることが大切だという。そこに発見がある、と。
第2部。
理念(VISION)について。
テクノロジーやユーザーニーズなどは、5~10年で移り変わっていくが、確固たるビジョンは100年たっても変わらないもの。だからこそ「vision driven」という考え方が大切。ビジョンを立てて、その達成にむけて走っていくということでしょう。
第3部。
Art & Design。
ここで「タンジブルビット」の概念登場。この第3部がこれまでの活動事例が出てきておもしろいです。
今、コンピューターはなんでも出来てしまうという汎用性が売り。でもそれが弱点にもなっているとの見解です。
それよりも専用のもの(例ででていたのは包丁)のほうがリアリティがありその機能を理解しやすいという。フィジカルなインターフェイースの奥に膨大な情報が眠っていて、ユーザーの簡単な操作でそれを引き出すことができるものがベスト。
例えば、「そろばん」。
CPUもバッテリーも積んでいないあの本体でどれだけ膨大な計算能力をユーザーに与えてくれるのか、と。身体を通して数を把握できるデザインがすばらしいのだという。
明快さ、シンプルさをどうやって活かすか。
これが重要。
例では「掛け時計」を持ち出していました。同じ場所にあり、時間だけを示すという極めて明快かつシンプル。
こういう考え方をどうやって活かすか、ということをこれまでの研究でやってきたのだ、という前置きでプロジェクト紹介に入っていきます。
Ustで確認すると映像も入っているはずなのでわかりやすいです。
「フィジカル + デジタル」。
全体を通してのコンセプト。フィジカルなインターフェースはアフォーダンスを使えるメリットがあるそうです。
こういったプロジェクト、インタラクション・デザインを通してユーザーに感動を与えることができれば、それがプロジェクトの成功。
「I/O Brush」のプロジェクトで小さい女の子の反応がすごい!感動!
第4部。
SF、未来について。ここからはスポンサー探しモード。
トム・クルーズの『マイノリティ・リポート』のあのインターフェースは、実際にすでに実験段階にあるという事実を紹介して、言葉を引用。
「もう未来はどこかにある。ただ近くにないだけ」という意味のことばを紹介していました。
アートとサイエンス、デザインとテクノロジー、細分化されてしまった今こそ、すべていっしょくたに考えていかないと成功するプロジェクトはできないのではないかと語っています。納得。
具体的に、プロジェクトを成功させるには「ビジョン」以外になにが必要と感じているのかをキーワードとともに語っていました。
ざっと並べると。
- 飢餓感
- 屈辱感
- プライド
- 情熱
- 問い
- 哲学
そして「死後を思う」という「メメントモリ」を強調してました。
目先の利益などばかりではなく、例えば、自分が死んだ2200年に残したいものはなにか?と考える。
そういう未来にまで残るプロジェクトをやっていきましょう、とスポンサー呼びかけしてました。リーマンショック以後、そういうスポンサーが減ってしまった模様。現実はきびしいようです。
最後に以下を引用してました。こんな決意でMITに入ったということです。かっこいい言葉だ。
「僕の前に道はない、僕の後ろに道はできる」 BY 高村光太郎
Ustで伝わってくるかわかりませんが、会場にいて石井先生の熱が伝わってくる講演でした。
アートと思想の話が中心だったので、もっと実用的な話を期待していた人には物足りなかったかもしれませんが、ビジョンが大切と言っていたので、芯は通ってます。
ぜひスポンサーにときっぱり伝えるあたりが、アメリカ的なんでしょうか。
なんにしろ笑いありの気持ちのいい講演でした。