東京ミッドタウンのデザインハブで「デザインハブ・オープニング・リレートーク デザインの未来」が開催された。
リレートークということで、
「広告とCIの未来」
「ポスターとブック・エディトリアル」
「グラフィックデザインの未来」
「パッケージとジェネラルグラフィックの未来」
の4つテーマごとにデザイナーの対談が企画された。その構成と司会は、編集者の後藤繁雄。
魅力的なテーマばかりだが、仕事と時間の都合で5月27日の「グラフィックデザインの未来」だけしか参加できなかったのが残念。
このテーマのゲストには永井一正と原研哉が選ばれているので聞き応えは充分だ。
まずは、ざっと日本のグラフィックデザイン史を永井が総ざらい。
家紋をすぐれたデザインだと捉えているところは、共通した考え方だ。似たようなものでヨーロッパには紋章がある。
ただし、二つを比べたときにその違いはハッキリするという。
デザインのモチーフとそのバリエーションの数は圧倒的に日本の家紋の方が多い。
このデザインソースから学べることはかなりあるだろう。
原は、デザイナーが大事なのではなく「デザインの概念」が大切なのだと断言。
イメージとしては、言語、社会、サイエンスなどと並びうる「概念」だ。
自身もそうした概念に取り組むうえでの展開として、
日常の中に隠れているデザインを再発見していこうといいう「Re Design 」、人間に備わっている5感をフル回転させて自身の世界を広げるという「HAPTIC」などのデザイン概念の展覧会を開催している。
永井の視点は、ヨーロッパからやってきた合理的なデザインの概念を、日本文化とミックスさせてどうやって進んでいくかを日本のグラフィックデザインは、これから突き詰めていくべきだと語った。
日本文化がもつ合理的なだけではないデザイン感覚が求められるようになるだろう、と。
それには、日本文化がもつ情報、歴史のソースをどうやって今後に活かしていくか、どう使うかを再検討すること。つまり歴史に学ぶことが大切だと強調していた。
これにはまったく同感。自分自身もすでに日本文化が持つデザインの方法を身につけるように努力しているところだ。こうして、同じ事を思っている人がいると心強い。
やっていることは間違っていなかったな。
原も、デザインという思想の根幹には、日本的なものが必要だと世界から思われている、というようなことを言っていた。
今、目指していることの大切さを再確認でき、それに向かう勇気をもらった対談になった。