宇宙科学講演と映画の会、もう30回になるんですねー。
行ってきました。午前と午後の部に分かれていて、内容は同じという。
午前中の講演を聞く予定で9:40くらいに行ったらすでに午前中の整理券は配布終了という悲劇。大丈夫だろうと思っていたのにとんでもない人気ですね。
「あかつき」と「はやぶさ」のプロジェクトマネージャーの講演があるのだから当然なのかもしれない。そのあたりの読みがあまかったですね。
午後の部の整理券、A列をゲットして14:20の開会時間まで有意義に時間を使うことにしました。
まずはレゴガチャをするために、ヨドバシへ。
そしてダーツ。
会場でもらった資料はなかなか豪華でした。
「あかつき」クリアフォルダーに「はやぶさ」の豪華資料。
無料イベントなのにこれはうれしいです。
講演は、金星探査機「あかつき」のプロジェクトマネージャー 中村正人さんから。ユーモアを交えての講演はとても楽しいものでした。今まで「あかつき」についての講演は聞いたことがなかったので興味深くきくことができました。
まずはなぜ金星を調べるのかという説明から。
地球と金星は、大きさがほぼ同じで、双子惑星とも呼ばれているようです。太陽からの距離はほとんど変わらないくらいなのに、なぜこんなにも惑星の環境が違うのでしょうか。金星は大気のほとんどが温暖化のもとになる二酸化炭素で構成されていて、地球の行く末のような気さえしてきます。そんな金星を調べることで地球環境の成り立ちと行く末を解く手がかりが掴めるかもしれない、というのがこの「あかつき」ミッションの概要だそうです。
1回目の金星周回軌道突入は失敗に終わってしまいましたが「あかつき」はまだまだ健在。再突入を目指して、運用が続いています。
難しいのは太陽光の熱処理。機体の温度が上がれば、搭載機器に影響があるだけではなく、接着剤が溶け出したりと大きなダメージを受けてしまうかもしれないという過酷状況らしいです。
対処法としては、本体を回転させて、各面に均等に太陽光を当てて熱コーティングの劣化を最小限にとどめながら熱を回避するというもの。
バーベキュー回転と言ってましたっけ。
1回目の突入に失敗した理由も現時点で考えられることを説明していました。
エンジンの故障というのが、有力な説だそうです。
幸い観測に必要なカメラ系統には以上は見当たらないということなので、今後はぜひ金星周回軌道への再突入を成功させてほしいです。
次の講演は「はやぶさ 」の川口pm。
川口pmの話は本でも読んでいるし、2回ほど講演を聞いているので大きな話の軸は知っていますが、「午後の部の回だけ」の話とか、仕込んであって、話の大筋を知っている人でも楽しく聴くことができたはずです。
スライドは、相変わらず英語、よみがな表記が併存するというスタイル。ひとつの資料で幅広い人達に対応しています。それだけ講演依頼がいろんなところから殺到していたりするんでしょうか。
今回は、研究とプロジェクトについての話が一番心に残りました。
以下のような理解の仕方が納得します。
- 研究:100%の完成度を目指す。
- プロジェクト:完成度は60%でもいいので、100%のミッション達成を目指す。
これは科学技術や宇宙プロジェクトだけに言えることではなく、普通の仕事にも当てはまることですよね。研究とプロジェクトを一緒に考えてしまう人がかなり多いという印象です。
それは100%の完成度で100%のミッション達成なら言うことないんですが、多くは予算と納期の関係で、完成度を100%に持って行くのはかなりの無理が必要かと思います。予算を増やす、時間をかけるなどのコスト増を覚悟しなければ、完成度は100%に近づかないことが多いです。
研究とプロジェクトに対する考え方は、改めてものすごく参考になりました。
「はやぶさ」後、もっと未来についての川口pmが語る構想「深宇宙港構想」がまた夢のある話でした。
宇宙大航海時代が訪れるには宇宙に港は必須だという考えだったと思います。ちょっとうろ覚えですが。。。深宇宙へ出かけていくときに、修理だ、補給だでいちいち大気圏突入していたのでは話にならないので、宇宙に港を用意するというものです。
あと、そんな大航海時代に必要なのは医学。飛行時間が長いのでその間に体の代謝を制御して加齢を防ぐなどのSFではよく目にする光景を実用可させること。もう、こういうことを考えていく時代なんだなと驚きます。
宇宙研の所長が宇宙開発の未来について、将来の行く末はどのようになっていくか、確か以下のようなことを言っていました。
「宇宙が普通の日常になる」
宇宙というものが、特別な存在ではなく、日常として自分のまわりに存在するということですね。これはすごいことです。
「ちょっと横浜いってくる」という感覚で、
「ちょっと月までいってくる」なんていう日が来るということ。
想像するだけで楽しくなります。
このイベントの最後は、映画の上映です。
『The ROVER 今、宇宙は、探査ロボットの時代へ!』という映画でした。「はやぶさ」に搭載されたミネルバが記憶に新しいでしょうか。
映画によれば、この40年間で実際に活躍したローバーは4体のみという話。
意外ですね、もっと多いと思ってましたが、技術課題が難しいのでしょうか。映画で見る限り、自立性を持った高性能なローバーは確実に誕生しつつあるようで、実際の活躍が楽しみな分野です。
探査機に限らず、この分野も楽しみになりました。
映画はwebを通しても観ることができるそうです。
すごくいい時間を過ごすことができました。
「宇宙科学講演と映画の会」、来年も注目です。
金星探査機「あかつき」の金星周回軌道、再突入の成功を応援するため、探査機シリーズ(?)として新たにレゴ「あかつき」を提案しました!
よければレゴ「はやぶさ」に引き続きよろしくお願いします。