2007年度のJAGDA教育委員会セミナー「文字の先と端」、これまで8月と9月にも行われたシリーズの最終講。12月は全2回になるようだが、12/21の「文字・言葉・物語」にしか行くことが出来なかった。
ちなみにもう一つは12/22の「グラフィックデザインのなかで文字は…」で、講師は服部一成。
今回の講師は葛西薫。サントリーのウーロン茶の広告制作であまりにも有名。
「文字」を部品として捉え、文字が集まって「言葉」、言葉が集まって「物語」になるということからこの題名になったのだとか。
子供の頃は、漢字を点や棒などのパーツの集まりとして見ておもしろがっていたなどのエピソードが人柄をあらわしていると思った。
ロゴタイプ自体には、良いも悪いもない。それを使う人によって良くもなるし悪くも感じるという哲学は文字にたいする愛情ゆえ。
確かに、使う文脈や環境によってふさわしい文字は変わってくるものだが、そのことを葛西薫流の表現で聞くと説得力が違うし、理解しやすい。
良いプロダクトやデザインをつくるにはルールを破る大胆さと、細かい部分にもこだわる繊細さをもつデュアルスタンスで挑まなければならないとも語った。そうすると最終的な仕上がりのレベルが段違いになるという。
デザインを考えるコツとしては「文字の身になって考える」「紙の身になって考える」などの「何かの身になって考える」という方法を使うことのようだ。だからこそ絵も字も映像もトータルで考え抜くことができるのだろう。
広告製作のコツは「一方的に情報を投げつけない」ということ。見る人が入り込めるような余地を空けておくことだと語る。言いたいこと伝えたいことをたくさんあるだろう、ただ、その全てを投げつけるだけではコミュニケーションは成り立たない。広告を観る側の身になって考えれば当然のことだ。
サントリーウーロン茶の広告シリーズを思い出すと理解できるはず。
シンプルな言葉というものは、誰にでも伝わりやすいからプレゼンにも応用できるだろう。
語り口調からは、文字やデザインへの熱い愛情を感じることができた。