2008年11月3日、東京国立博物館で開催されている「大琳派展」にいってきた。
三連休最後の日ということもあってか、多くの人でにぎわっていた。
年齢層も幅広く、家族連れも多かったので子供からお年寄りまで、ほんとうにたくさんの人。あの「風神雷神」があまりにも有名だから「リンパ」なんて聞いたことがない人でも興味をもって観ることができただろう。琳派を代表する「風神雷神」が4作品ならんだ姿は圧巻だった。同じモチーフが作者の個性によってどのように昇華しているのか、実物を比べることができるなんてのはめったに、ない。
個人的には妖しい迫力がある宗達の「風神雷神」が一番好きだ。
琳派は、代々受け継がれる世襲の画派ではない。そこがまたおもしろいところ。
同じテーマの作品を見比べながら系譜を辿るのも興味深いが、今回はそうした学術的な興味というよりも、デザイン感、レイアウト感に惹かれて参考にしようと目標をたてた。
北斎もそうだが、やはり余白のとりかたが逸品。このレイアウト間隔は、日本にしかないだろう。レイアウト感覚でいうと北斎よりも琳派のほうが際立っていると思った。北斎は人物をテーマにしていることが多く、琳派は植物などのネイチャー系が多いようだ。自然のものだからこそレイアウトの自由度は高いのではないかな。
描かれたもののレイアウトばかりではなく、素材との関係、表具との関係なども考えてレイアウトされているところなど、アートよりもデザインに近い。下地の複雑な文様と視覚的にまざらないように、余白でセパレートしてあげるなどの基本もしっかりとおさえている。その活動は、団扇や硯箱といったプロダクト・デザインも手がけたりとグラフィックの領域にとどまらない。
こうした日本伝統のデザイン感覚はこらからのデザインにも取り入れていきたい。
図録はもちろん買ったが、やはり写真では琳派作品の良さがちっともでていない。それは当然のことで、素材感、光の当たり方で浮き上がるきらきらの文様効果がないからだ。
ページの都合からか、表具すらも省略されている始末。掛け軸などは、表具こみで成り立つデザイン、余白の取り方をしているのに省略されては魅力も半減というものだ。
図録はあくまでも参考資料、本物を観るチャンスがあれば観ておかなければ。