日常

原研哉×ナガオカケンメイ トークイベント

2008年8月24日、銀座のアップルストアで開催された。
「デザイン物産展ニッポン」開催記念だ。
この物産展では、iPod touchやiPhoneでのガイダンスを企画している。だからこの場所が選ばれたのだろう。
会場は立ち見がでるほどに大盛況。前にお世話になった会社の人ともばったり会ったから驚いた。
「デザインと地場産業」というテーマでトークは進んだ。原研哉はかなり昔から地場産業のパッケージデザイン、産業のしくみデザインに関わってきたようだ。日本に興味があるという原の言葉通りにノーギャラでも積極的にローカル文化に関わっているようだ。
そんななかで、日本の産業、特に地場産業にはランクがなくフラット化しているのが問題ではないかという。フラットだからビジネスとして成立することが難しい。そこをデザインでヒエラルキー化し、ビジネスとして展開できるようにするのがデザイナーとして出来ることでもある、と。
そうした眼で地場産業を見てみるとかなり可能性はありそうだ。こうした文化こそが大切な資源だという考え方には共感できる。「グローバルな文化」というものはなく「ローカル」にしか文化は育たないという原研哉の言葉はなるほどと思う。
グローバルを意識しつつ、ローカルを突き詰めていくデザインが今後はもっと必要になってくるだろう。
もうひとつの問題点として、こうした方向性をもったデザインを評価するメディアや取材が圧倒的に足りないという。確かにそういうものがなければなかなかビジネスに結びつかないのは確かだ。
トークショーで紹介された原研哉の仕事スライドもほとんどが「おつきあい」のもの。ビジネスにはならない「おもいいれ」がつまったデザインなんだとか。
お金にならないというのも寂しいが、おもしろいデザインができるのはそうした「おつきあい」のものらしい。そういえば、「デザイン物産展ニッポン」もナガオカケンメイにとってはボランタリーの企画だという。やりたいことをやるには、そのくらいの覚悟が必要なのだろう。