日常

『文字のデザインを読む』

antioues

今日も時間をとって本を読んだ。
文字のデザインについては、なかなか学ぶ機会がなかったから。
フォントについての本ならたくさんあるのを知っていたけど、「デザイン」となるといい本に出会ったことがない。
ちょうど、デザインを「情報の視覚化」だと捉えて書かれた本があったので参考に読んだ。「情報の視覚化」というと、デザイン全般のことになってしまうけど、「文字」に絞って書かれていたので安心して読めた。
また、ざっと書き留めてみよう。
デザインとは、伝えたい「情報」の「解釈」を上手に行い、ケース・バイ・ケースで「デザインのルール」を適用すること。つまり、考える作業から図形化の作業をし、情報の視覚化につなげていくこと、モノに正しい表情をつけることといえる。
視覚化の前に、情報を編集することがかかせないわけだ。
文字に表情をつけるには、「伝達意図」と「情報内容」の理解・解釈が必要だ。例えば、力強い印象を与えたいのか、やわらかい印象を与えたいのかを読みとることができないと適切な書体を選択することができない。
書体には主に、
和文:「ゴシック体」「明朝体」「楷書体」
欧文:「サンセリフ系」「セリフ系」「スクリプト系」
が、ある。これらの書体に
・輪郭
・太さ(ウェイト)
・縦横比(プロポーション)
・斜体
・文字間隔
を調整していくことで表情をつくっていく。
長文など読みやすさを追求するなら明朝体。
キャッチなど人目を引くにはゴシック体。
強そうでがっしりした感じをだすには太く。
どっしりとした安定感を演出したいなら横に広いプロポーションに。
おしゃれを装うのであれば少々縦長に。
斜体はスピード感や未来を予感させる。
文字間隔をあけると上品に、書体によっては高級な感じになる。
大衆的な感じをだしたいならポップ体や袋文字で。
文字のデザイン次第で、文意や印象はガラリと変わる。だからこそ、情報の「伝達意図」と「情報内容」の理解・解釈が必要だ。例え、同じ名前の会社でも伝えたい内容が異なると文字のカタチも変わってくる。
「サウンドロゴ」として、イントネーションや間も文字のデザインに反映される方法も紹介されていた。
CMや企業名ですでになじみ深いものになっていることで、万国共通的に3つ程の音声ならば音的に耳に覚えやすく、また口にしやすい、というものだ。
「ナイキ」「ミズノ」「トヨタ」「アサヒ」・・・。
音楽的に表現すると「ラ、ララ」と聞こえるようなタイプは日本人にはとても口にしやすく、浸透しやすい傾向にあるそうだ。
日本語音声学的にいうと、この3文字に「間」がカウントされて4拍子構成が日本語の重要なポイントなのだそう。「拍数」「間」「音の高低」に注目するといいらしい。
最近のキャッチの動向として「。」をコピーの最後につけることが目立ってきている。その理由も「間」にあるようだ。上品さや大人らしさを出したいときに「。」をつけると効果的、「。」が美的効果を与えてくれるようだ。これにはなるほどと思った。
ロゴデザインには、サウンドの要素をほんの少し潜ませると良い効果がでる。
・音の高低は、上下の位置関係
・音の強弱は、太さと大きさ
・音の間やリズムは、文字間隔
と、いった具合に。
「文字」をデザインするということは、伝えたい「情報」を適切な造形的なカタチに変換し、「表情」や「音声」を肉付けしていく。
「文字」を選択する場合も同じで、内容や場面が人に伝わりやすいフォントを選ぶのが王道だ。
それには、やっぱり「情報」を理解することが必須なんだな。
文字組に関しては、2通りに分けて解説されている。
・時間軸にそって文章が構造化されている雑誌などの読み物
・商品などのパッケージに現れる文字群
時間軸の文字組は、すでに文章構造があるからその構造にあったフォントをディレクションしていけばいい。大見出しは「力強いもの」、リード文は「ソフトな感じ」、小見出しは「シンプルな機能的標識」、本文は「さっぱり感を演出」などのように。もちろん文章が載るメディアのことも考慮しなければならない。情報誌なのか、大人っぽいマガジンなのか。
この時「文字のジャンプ率」も文字のハーモニーに関係してくる。各要素の文字のサイズが変わるそのコントラストのことだ。最もポピュラーな方法は、フォントファミリーを使うことだ。
この文字のサイズが極端に変わるものを「文字のジャンプ率が高い」という。インパクトがあり力強い印象を産む。逆に「文字のジャンプ率が低い」場合は、上品な印象になる。
欧文も同じでコントラストが読みやすさを提供する。
「文字」ひとつをとってもデザイン全体に及ぼす影響は非常に大きい。
これに絵も加わり、空間との相互作用が追加され、メディアそのものが持つ素材感もデザインを構成する。やたらと要素が多くて理解していくのが難しいけど、だからこそ面白いとも思う。