常用デザインシリーズの第1巻目。
この聞き慣れない「常用デザイン」とは、プロとアマの境界を取り除き、誰でもデザインすることを可能にすることなのだそう。これまでプロのスキルと思われていたことが、実は多くの人にとって可能なスキルであることが意外に多いも言い切る。ということは、消費者感覚に近いところに位置し、生活に密着したデザインということ。
確かに、デザインとはそもそも「計画する」ことを語源にしている通りアートではなく理論的なものだ。そー考えると納得がいく主張に思える。
プロとアマの境界をくっつけていったのは、コンピュータの登場がきっかけなんだとか。高性能なグラフィックソフトに高品質の素材集やテンプレート。コンピュータのオペレーションが使えれば最低限のモノは自分でできてしまう環境が、この「常用デザイン」という考え方にいきついた理由らしい。もっともなことだ。
デザインの領域はものすごく細分化され幅広くなっている。そんな幅広いデザインスキルを網羅しなければデザインできない、ということはない。チラシに関していえば、この本に載っていることを実践すれば十分だ。というのがこの本の主旨。副題の「チラシ制作基本マニュアル」という文言もそれを主張している。
企画から、実勢作までのポイントを図版・表をいれてまとめて具体的になっている。デザイナーの仕事は、内容を誇張することなく、真実の内容をいかに伝えるか、いかに行動を起こさせるかという必要なことにしぼって書いているから使いやすいんじゃないかな。例えば、文字の大きさは2mm以内は読めない、3mm以上にする。1行26文字が人の目で追える限界であるので、できるだけ超えないようにする。などなど。
実際に何回かこれにそって仕事をこなせば、一通り覚えることができそう。
チラシデザイン―チラシ制作基本マニュアル