日常

『ダ・ヴィンチ・コード』ヴィジュアル愛蔵版

イコン

ずっと気になっていた本だった。
映画化の話があってからは、さらに関連本も増え、文庫化もされた。
で、一気に読もうと決めて、ヴィジュアル愛蔵版というものを手にした。
スタンダードなものは上・下巻にわかれているけど、これは1冊にまとまっており、絵画、アイコン、イラスト、建築物などストーリーに関係するカラー図版が散りばめられていてシーンをイメージする手助けとなってくれる。価格はそれなりにするけど、買う価値はあると思った。
タイトルは、ダ・ヴィンチとなっているけど、ストーリーの骨格は決して「ダ・ヴィンチの謎」ではない。ダ・ヴィンチのイメージが一般的に万能の天才とかミステリアスなもので、さらに広く認知されている人物だからこそ人気もでたのだろうと思う。
タイトルだけで売れたわけではないけど、その効果もなかなか大きいんじゃないかな。
絵画を「読む」ということが、どれほど知的でおもしろいことか、ということが改めて思い知らされた。
色使い、筆のタッチ、構図など「絵」そのものを楽しむのに加えて、作者のバックグラウンドや描かれた当時の社会事情、モチーフに対する図像解釈など多角的に切り込んでいくのはエキサイティングだ。
ただし、かなりの知識が必要みたいだから、すぐに正しく読み取れるようにはなれない。そこんところ、主人公のラングドン教授たちがやってくれるので読んでいてスカっとした。しかもストーリー全体の展開もはやいのでサクサク読めてスリリング。
悪役たちと主人公一派の距離がだんだんと近づく演出が、それぞれの視点から描き分けられている。
うんちくが回想シーンとしてたびたび割り込んでくるのがウザイという意見もあるかもしれないけど、個人的には楽しめた。
ひとつのヒントに、何重もの意味を持たせ、それがつながった時の快感は独特のものがあるなあ。ふつうのパズルではなく、実在の絵画を読み解いてつなげていくんだから当然といえば当然か。
文章の表現や言い回しを楽しむというよりも、コードを解いていく爽快感を味わいたい。