最近忙しくしていてなかなか読み切れなかった本を一気に読んだ。
ひさしぶりの科学書だなあ。
ところで、
身近なパートナーのイヌやネコの目にはどんな世界が写っているか気になったことが一度はあると思う。とくに、子供のころは動物ばかりではなく虫や魚にまで想像を巡らせた経験があるかもしれない。
そんな疑問をあつかった本だ。すこしアフォーダンス理論ににているかも知れないな。
ヒトの眼はある範囲の光しか受け取ることができない。
ヒトの耳もある範囲の音しか受け取ることができない。
どちらも受容できる波長の範囲は決まっている。そこから外れると赤外線・紫外線なり超音波なりとヒトには認識できないモノになる。
こうしたことからも、とうぜん生物を取り巻く環境は、認識の可否に関係なくいろんなモノであふれている。
そんな環境のなかから生物は、各自がもつ感覚器官をフィルターにして世界を切り取っていることになる。
ということは、ヒトもイヌもネコも虫も、環境を切り取る感覚器官が違うので同じ景色をみることはできない。極端にいってしまうと「生物の数だけ世界はある」ということになるのかな。
この本の著者はその世界を「環境世界」とよんだ。
おもしろいところを少し以下に抜き出すと、
「生物の環境世界は、その周囲に広がって見える環境の単なる一片に過ぎない」
「ある動物がなしうる行為の数だけ、その動物は自分の環境世界内において対象物を区別することができる」
「動物の行為の数が増すとともに、その環境世界を占める対象物の種類も増してゆく。その数は、経験の積み重ねが可能な動物ならば、その個体が生きてゆくのにつれて増加してゆく」
結論としてはこんな一文に集約されていた。
「いろいろな物が、広がることのできる空間と時間という二つの多様性が存在するばかりでなく、さらに、いろいろな物がつねに新しい形でくり返される環境世界という多様性がある」
夢中になって読めた一冊。
生物から見た世界