かなり売れた。
データをもとに、消費の動向を読み消費者をわかりやすく「上・中・下」に分類してみせたことが分かりやすかったのだろう。
総中流社会という認識が浸透している中で、下流社会がに属するものが増加するという、なかなかショッキングな分析も、ニートやフリーター問題、正社員と派遣社員の格差問題なんかとの関連もあり、注目されたのだろう。
まず、女性のライフスタイルの多様化にスポットをあてている。
ずっと言われている階層化社会との関連で、消費者を典型的な系統に分類している。ひとつの分類に完璧に当てはまる人は、なかなかいないだろうけど、社会情勢との関連で考えるとおもしろい分類だとおもった。
「普通のOL系」を基本にして、
「ミリオネーゼ系」「かまやつ女系」「お嫁系」「ギャル系」
と、なかなかツボをついているなあとおもわせる分類が並ぶ。
それに比べて男性の分類は、かなり極端だと感じた。
「ヤングエグゼクティブ系」「SPA!系」「ロハス系」「フリーター系」
という4分類。
いずれにしろ、かなりの大分類なのでこの分類にズバリな人はいないだろうな。
ただ、現在の社会というか環境を読みとくうえでは、うまく特徴検出しているので指標にはなりそう。
「晩婚化の理由は階層化」というおもしろい仮説もある。
結婚ほど同じ階層の人間同士を結びつけるものはないという。その理由は、異なる階層の人間と出会うチャンスがないし、であっても恋愛の、ましてや結婚の対象とは考えないのが普通だ。そもそも階層が違うと話も合わないのだそう。
おもしろい仮説は、他にもある。
「自分らしさ志向は、下流ほど多い」というもの。
その理由は、「自分らしさ」や「自己実現」を求めるものは、仕事においても自分らしく働こうとする。しかしそれで高収入を得ることは難しいので、低収入となる。よって生活水準が低下する。そういう悪いスパイラルにはまっているらしい。
なるほど、よくテレビで聞くようなフリーター調査レポートと比べると、なんとなく納得できるような感じがする。
さらに著者は続ける。
そもそも、自分らしさ志向が高いことは、自分らしさを持っていることを意味しないという。そして、この「自分らしさ」がくせもので、自分らしさにこだわりすぎて、他社とのコミュニケーションを避け、社会への適応を拒む若者は、結果的には低い階層に属する可能性が高いと分析。
調査結果を読み解いて、数字と関連づけた理論は説得力があって読んでいておもしろい。
この理論が、現実をズバリと言い当てているとは思わない。
が、全体をざっくりと見回すと、このような流れになっているのかもしれないとも思ったのは事実。
難しいことは言っていないのでさくっと読める。