おもしろく、ためになる本だったなあ。
『文字のデザインを読む』の続編。
レイアウトの目的として「ターゲットに情報を伝達する」ことを大前提に話を進めていく。広告レイアウトでは、その見栄えだけを考えるのではなく、情報をよく解釈して整理し、商品購買へプロモーション行動と同じだという。
デザインする前には、情報編集がかかせないという考え方が初めにしっかりと語られているから好感がもてたな。この情報編集部分は、プロデューサーなりアートディレクターなりが担当することが多い。だけど、この部分こそデザイナーがしっかりやりきることで、良いデザインにつながるんだとおもう。
ただし、それがなかなか難しい。
ターゲットという受け手の理解度、興味度などを理解したうえで情報を加工して「伝わる情報」にしなければならない。これはデザイン知識ばかりではできない。編集者の考え方が必要になる。
おもしろかったのは、クライアントがもつ「情報」をターゲットにたいして「宣伝する情報」と「説明する情報」に大別して書かれているところ。確かにこの2つで大きく分けるとデザインの方向性がハッキリする。
なんにせよ、「情報編集」と「デザイン」は同類作業で切り離せない。
レイアウトの構成要素を
・紙面(版面率)
・グリッド
・文字
・イメージ
・配色
にわけた。なるほど、これまたわかりやすいや。
一覧表もあり、おもしろい。文字で表現するのに苦労しているのは、しょうがないだろう。こんな感じ。
○高級感を演出
・版面率
大きくしない程度にまとめる
・余白量
たっぷりととる
・グリッド拘束
グリッドに拘束させる
・文字組
高級感のある書体選択と文字組
・イメージ
ジャンプ率は大きくしてもよい
○ポップな印象
・版面率
大きくする
・余白量
少なめにする
・グリッド拘束
グリッドフリーのほうがよい
・文字組
文字よりはイメージ分量を多くする
・イメージ
ジャンプ率を大きくし、切り抜きを多用
こんなふうにルールを組み合わせてレイアウトしていくわけだ。こうしたシステマチックなところが、デザインの語源が「設計」にあることの証だと感じるなあ。
あとがきにもあるように、レイアウトデザインとは「情報とレイアウト造形との双方のロジックを理解し、コミュニケーションデザインの設計図が描けること」という著者の主張にかなり共感しつつ読み終えた一冊。