日常

「文化庁メディア芸術祭」

タワー

「映画、漫画、アニメーション及びコンピュータその他の電子機器等を利用した芸術」を「メディア芸術」と定義して、作品を審査し表彰するイベント。
時間のおりあいがつかなくて、いこうと思っても機会がなかった。
で、ちょっと前、気がついたらやっていたので、開催期間ギリギリでいってきた。
大がかりなものから、個人レベルのもの、ゲームなんかもあって、ゆっくり見て回ったら長い時間楽しめそう。
デジタル表現ばかりではなく、アナログ感覚とのシナジーを意識したものが多かった。デジタル表現の間に指などの身体的なものをインターフェイスとしておき、その動作結果を反映させるというインタラクティブな部分の領域を広げていった感じ。
パソコンの高機能化で、ずいぶんと映像を個人レベルで扱いやすくなってきたことがあってか、すごく個性的な映像作品が多かった気がする。
賞とは別に、先端技術を使った作品も公開されていた。
3つを、ざっとまとめてみる。
JR東日本の「Suica」を使った「不特定多数の人の日常を作品に反映するインタラクティブなメディアアート」。
Suicaは、カードを持つ人の日常に密着した情報にもかかわらず、その記録からカードを利用した個人が特定できないという匿名性に着目したという。実際のカードの記録から利用駅を割り出し、地図上に投影するシステム。
音楽を聴くときに使うヘッドフォンに、電子コンパス、距離センサ、傾斜センサを搭載。首を左右させるなどの動作で、特定の音をフォーカスさせて聴くことができる。「疑似カクテルパーティー効果」を可能にした。
たとえば、オーケストラの演奏を聴く。特にバイオリンの音を聴きたい、トランペットの音を聴きたい、というときに登録してある「バイオリンの方向」「トランペットの方向」へと首をふるとその音にフォーカスできる。
カラー映像の中から人物領域を抽出して背景の映像に合成する技術。
合成ではブルースクリーンが有名で、ブルーの背景を別の背景に差し替えることでおなじみ。これは、背景ではなく逆に人物を差し替える。
色を抽出する「クロマキー」ではなく、温度を抽出する技術になるので「サーモキー」という。
リアルタイムで実現可能なので、生放送でのプライバシー保護としても期待されているそうだ。ということは、今まではモザイクだったものが、人物は完全に消え去ることになるのかな。
どれも、おもしろいなあ。
技術がアートに与える影響は大きいから、ますます面白いのがでてきそうだ。カタチを変えて実用化されてくるものもあるだろうし。
文化庁メディア芸術プラザ