日常

『形の合成に関するノート』

デザイナーのための理論的な問題解決方法を解説している。
出版されたのは昭和53年なのだが、情報を形にするプロセスに目を付け、デザインに応用していこうという試みはかなり新しいのではないか。
ただし、時代が違うので少々難解な部分はあると思う。例えば、本書を貫く基礎部分は以下のように宣言される。
●デザイナーの心と行為に計画的な明快さがなければ、物理的な明快さは形の中に完成しない。
●デザイナーはまず第一に、与えられたデザインの問題の機能的起源の最も深いところまでたどり、何らかの型(パターン)を見つけることができねばならない。
●形は問題に対する解決であり、コンテクストはその問題を明確にする。
●形だけに限られず、形とそのコンテクストから生まれる調和のとれた全体、すなわちアンサンブルも議論に含まれる。
やはりかなりクセのある文体だけに読み解くのが難しいけど、ざっくりとまとめると、あるコンテクストから導かれる形を追求するだけではなく、その形を通してコンテキストをコントロールすることにこそデザインの醍醐味があるということらしい。そこにはかならず「フィードバック」というシステムも働いている。
実践されるデザインの方法も大きく2つに分けているところが特徴的だ。
「自覚していない文化によるデザイン」と「自覚している文化によるデザイン」のアプローチだ。
形をつくることが形式かしていないトライ・アンド・エラーだけの文化が「自覚していない」と定義されている。つまりデザインの方法を意識して使っていないということ。
逆に、学問や方法としてデザインを考えて行くことが出来る文化は「自覚している」ことになる。情報を構造化して問題点を組織化、分析し、デザインしていくことができるのは、方法を「自覚している」から、ということだ。
こうした概念が「数学的」に分析・議論されていくので苦手な人はかなり苦しいだろうと思う。本書の題名に「形の合成」とあることから予想できると思うが、数学でいう「集合」「部分集合」「ツリー構造」などの概念でデザインのプロセスを語っているからだ。
この試みはかなり強引な感じはしたが、それでもグイグイと引っ張っていく論理力はかなりのもの。論理だけで魅力あるデザインが創れるとは思わないけど、こういうゆるがない論理的思考は一方で持っておかないと説得力のあるデザインは、なかなかできないだろうな。
解決すべきある情報を因数分解して、グルーピングしていくことは確かに基本的なことであり、大切なこと。ただし、そこには情報を多視点でとらえたうえで、多重多様に解決策をさぐっていくという方法論もあると理解しなければ、それこそ「融通がきかない」ことになってしまうから注意したい。
形の合成に関するノート

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