日常

「可能性を広げる特殊印刷の現場」

先日、3月15日に『工場へ行こう!!』の出版記念トークショーが青山ブックセンターで行われた。デザイン誌『デザインの現場』で5年間続いた連載「工場へ行こう!!」の書籍化だ。
トークショーには、著者の高橋正実、ゲストに内藤プロセス(有)の内藤正和社長、(株)ディフラの瀧英康社長。両社長の工場が今回の書籍のカバー印刷加工を担当したようだ。
著者は、学生のころから印刷工場を見学してまわっていたようだ。だが特殊印刷においては、当時は現在のように注目されていなかったという。そうして見学していくうちに、特殊印刷の可能性に気がついた著者と『デザインの現場』の編集者が出会い、連載がはじまったらしい。
各工場の社長や職人のあつい思いは、毎回の取材で感じていたという。
確かにゲストにきていた社長たちは、印刷に対するこだわりといい、心意気といい魅力的だった。
著者の熱い思いもその話し方にあらわれていた。職人や工場に携わる人たちへの思いが強すぎたのか、話が飛びまくり多少寄り道しつつ着地点がフラフラな感じがいい意味で好印象。アイディアのきっかけにしてほしいという願いから、取材時にはかなり無茶な注文を工場長や職人にぶつけていたのだとか。
今、特殊印刷の特集がいろんなデザイン雑誌で取り上げられるようになってきて、その注目度は上がって来ている。レイアウトなどの単純な見た目を演出するのではなく、手に取ったときの質感、奥行きのある色質、ナナメから見たとき、透かして見たときなどの変化を総合的にとらえて目指すべき効果を演出しなければならない。
出版不況とはずっといわれているが、だからこそディスカウントするのではなく、プレミアムの方向を考えていくことが必要だろう。それには、やはりインターネットにはない触覚などの五感ブランディングは必須だ。
印刷工場の職人がもつ技術とデザインの融合からおもしろいものが生みだされることは当然だ。しかし、どれだけのデザイナーがそこまで意識することができるか、実践することができるか。
著者の経験から、真剣な姿勢で挑めば、ほとんどの工場は快くデザイナーの相談に応じてくれるという。自分なりのデザイン方針をしっかりと整理してから工場を訪ねればおもしろいものができあがるだろう。

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